ふと思い出し笑い

友達がバブルはじける前くらいにシンガポールのお土産をくれた。



道端でおっさんが


「シャチョッサーン!ろれくすアルヨー!かるてぃえアルヨー!」



と、すり寄ってきたので



「どうせ偽物だろ〜?」と答えると、



おっさんは急に真顔になり



「シャチョッサン…コレふぇいくチガウ!こぴーネ!」



笑いのツボを押された彼は何十本か言い値で買ってしまったのだという。






時は過ぎて、返還前の香港でブラブラ歩いていた。



あたしは旅行先で大抵、地元在住の人に思われるので、そんなおもろい呼び込みの声をかけられた事がないねん。



ふと市場の中の葬儀屋に入った。



広東語はわからないので身振り手振り顔振り&筆談。




亡くなった人があの世でも豊かな暮らしができるようにと、色紙細工の札束や日用品をお棺の中に入れるのだという。洋服、シャンプーセットやドライヤー、テレビなんかがあった。


その中に金色の腕時計もあった。


「RELEX」




れれっくす?



「おでかっけですかー」



と、箒を持つ左手首に金紙の腕時計。



とか思うと、笑けてきたけど、涙目になってこらえて、かさばらない大きさのんを色々取り混ぜて買うことにしたら、


店のおじちゃんおばちゃんがウンウン頷きながら抱きしめてくれて、食べかけの干し杏だのするめみたいなんの袋とかをいっぱい持たせてくれた。



まさか単なるお土産だと思ってなかったんやろなあ。



ごめんね。