靴下
穴があいているな、と思いつつ、ま、いっか。と、履いて出かけた。
帰ってきたら、指三本出てた。
靴下。
買うても、買うても、消耗が激しくて、いかん。
履きやすいのは薬局で売っているアレなんですけどね、高い。
長持ちするけど。
たくさん働いて、たくさんアレを買おう、と思った。
靴下は、ざくっと縫った大きな袋に溜めて、いっぱいになったら綴じる。
で、クッションにしてる。
そこの君、キミが、顔をすりすりしてるのんは、あたしの靴下のなれの果てだ。
さて、仕事をちょっと減らしてみた。
と、言っても、金銭換算的な量を減らして、仕事のための準備時間を増やしただけやねんけど。
メインの仕事は通勤時間が多くかかるので、割と今はひまだ。
でも、貧乏性なのか、あかんね、何かしてしまうね。
なんで『働くのが嫌い』というヒトが多いのだろう。
『ヒトの尻拭い』がイヤ、というヒトが多いねんけど、それを言うたら、すべて尻拭いやろ、仕事なんて。
家庭でご飯を作らない尻拭いがご飯屋さん。
虫歯の尻拭いが歯医者さん。
病気の尻拭いがお医者さん。
揉め事の尻拭いが法律家。警察。
家庭教育が抜け落ちているのを尻拭いしきれないで学校にお鉢が回ってたりとかさ。
学校の尻拭いが、あたしのメインの仕事か。
アンタが働かなければ、その尻拭いとして、他のヒトが働くだけだ。
働いていても、何らかの尻拭い代は払わなあかんけどね。なんでもかんでもキチンとできるわけやないんやし。
こないだ、失業中の女の子としゃべった。
リストラに遭ったのではなくて、会社と合わなかったからだそうだ。
失業保険をもらうために、求職活動の振りをしつつ、のんびり休暇を楽しんでいるという。
色々、他にも事情はあるんやろうけど、本当に仕事がなくて、蓄えもない人のための失業保険なんとちゃうか、と思うと。
自営がうまくいかなくて、毎日12時間以上働いている友人を思って、せつなくなった。そういう自営のヒトには、週休二日も、有休も、ボーナスも失業保険もへったくれもないねんで、アンタ、とか。
心の中でぐるぐるした。
他の世界を知らないって、ことを知らないと、自分の言葉が暴言やということも、知らないまんまだから、ある意味幸せなのかもしれないけど。
いくらでも知ろうとすれば、知ることができる世の中で、自分から求めなければ、知っているヒトからは無視されていることすら気がつかない世の中で、漠然と自分のプライドが危機に瀕していることだけは気がついている。そして、そのプライドが、いったい何に基づいているのかもわからない。
そんな感じのヒトとよく出会う。
自分とは違うタイプの根無し草。