けつ

 医者のなんたらかんたら(http://d.hatena.ne.jp/orange-strange/20060509)で思い出した忌まわしい過去。








 尾てい骨の横にグリグリができたことがあった。


 これがビー玉くらいの大きさがあったので、仰向けに寝られへん。


 ので、近所の皮膚科医院に行った。場所が場所だけに女医さんにした。





 ら、「癒着してるので、すぐに手術できないので、まずは投薬で」


 ていう。


 そんとき、すんげえすんげえ忙しかったけど、グリグリが無くなるなら、と真面目に通院した。



 そしてやっと来た手術の日。


 時間をやりくりして、仕事も一部キャンセルして、時間通りに行ったん。


 「混んでるから、他の日にしてもいいですか?」



 できるか、ぼけ。どんな思いして今日の時間を作ったっちゅうねん。




 1時間遅れで


 パンツ脱いで、うつぶせになって、できものできたケツに麻酔を打って。



 器具を患部に差し込んでから



 「あ、間違えてた、この手術できないんだった」



 といいやがりました。




 カルテを読み間違えていたらしい。オノレで書いたオノレのカルテやろが!!!


 ああ、しかし。


 麻酔で感覚の無くなったケツをさらした状態で、なして強気な発言ができるでしょうか。



 できひんできひん。



 それでも手術費をとろうとしたのは抗議したけど。




 もう!


 てことで、友達に紹介状を書いてもらって(そいつは脳外科)、大学病院行った。


 そんで再びケツをさらしました。二つに増えて、かなり見た目が悲惨なケツを。


 泳ぎに誘われてたんで一応、


 あんのーお、アトは残るんでしょうかね?


 て、うつぶせ上目遣いで聞くと


 「そりゃ切るんだから、アトが残るに決まってるでしょ」



 て、なんだか冷たい。


 そして



 なんか、気配。




 顔を上げると




 知らん間に



 医学生に囲まれていた。





 断りも無く



 こんなこんなイタイケツをさらした


 あたしの人権は?ねえ?



 「で、いつ手術する?」



 やめます。


 「え?」


 もういい。


 あたしはこのグリグリとともに生きてくさ、ああ、あの世まで抱えていくともさ。




 グリグリが成長して、はるか昔の映画マニトゥのよーに、そこから化けモンが生まれてきたら、
そいつと仲良く暮らして行くさ。




 と、開き治りました。



 大学病院で、命に別状がない手術をすると、見学の学生に説明しながらなので、より手術痕が残りやすいそうです。


 と、紹介状を書いてくれた友達がいいました。



 それを先に言わんか、どあほ。



 そして、あきらめて放置してたら、一ヶ月で治った。


 1年以上のあの日々はなんだったのらろ?



 今もうっすら、途中で止められた手術痕は残っているのね、


 て、さっき思い出したんで見てみた。



 ケツ。



 それはナゾの宇宙。



 あまり見るもんじゃないな。




 庭の木を剪定してたら、枝と一緒に小指の先も切った。


 指の根元を抑えても血がとまらないので、


 あー、こりゃ縫わなきゃだめだなあ。



 と、脇に辞書を挟んで、近所の外科に電話しました。


 「じゃあ、さっそく。あれ?」


 出す針、出す針が全て錆びていた。


 「あっれーおっかしいいなああああ、ちょっと待ってて」


 いや、待たない。


 2軒目に急いだ。


 また麻酔か!手全体の感覚がにゃい。



 「先生!先生!」看護士さんが、低い声で医者の腕を抑えた。


 「あああっ、ごめんごめん、間違えて薬指縫ってたよ。やり直してもいいかなあ」


 もう3軒目に行く気力を失っていた。



 こんなんだったら、家帰って、ホッチキスで自分で留めたったほうがマシだったかもしれない。



 そういえば、体操の本に豆が大きくなって、掌が割れて肉まで裂けたときに自分で縫い針を使って「肉も一緒に縫わないと、皮だけだとまた裂けます」って写真入りで説明してたなあ。自分で縫い針で縫っても良かったかなあ。



 あとは、もう、オカンのときは、オカンがよくある姓名というのもあるけど、点滴やカルテの取り違えは2回に一度くらいあったし。


 何遍診ていても、カルテと検査データしか見てないのでオカンの顔を覚えていない医師も多かった。




 医者は魔法使いではない。



 単なる、オロカな人間の一人なんだ。



 ということを、医師も、患者も心にとどめておかなくちゃいけない。



 しかし、ケツに関する医者は許さん。