なつのゆふくれ

 こないだ、斉藤卓治さん、という人の作品をじかに見た(http://takuji.web.infoseek.co.jp/index.html)。ら、かなり良かった。じかに見たほうが、何倍もいいよ!(力説)!

 ありんこの作品。


 「欲しい」と思ったのは、すごくひさびさ。


 一万円代なので、買おうと思えば、そんなに高くはないけど。


 問題は部屋だな!


 来年引っ越す予定にしてるし、今部屋荒れてるし。こんなときにうちへ来たら、作品もカワイソウやねえ。


 梅雨がなんのかんのというてる間より、今のほうが雨の降り方がいかつい。



 で、ちょとしんどい。


 お尻の具合も良くねえ。


 こないだ気がついたら、親指先大くらいに腫れてるの!


 なんか挟まってる感じで痛いの!


 良く考えたら、朝3時起床で夜11時半帰宅が5日連続だったの!


 そら、体もびっくらこくであろう。



 あたしは、働き始めるとごんごん集中してしまうので、痔にでもならないと自分が疲れていることにも気が付かないオバカさんなのだなあ、と思った。


 これは働き者とはきっと違う。



 丸一日寝倒したら、痔は収縮した。



 痔はあたしのカラータイマーなのね(ウルトラマン、ごめん。こんなとこに引き合いに出して)。




 とか、そんなシモネタはもうええから!



 世の中には、色々鬱々なニュースがあふれてる。


 そのいくつかには、どっちにも味方したくないと思う。



 こないだ古典のセンター試験対策の授業をした。


 別に全訳なんてわからなくてもええのん。登場人物が誰と誰かが分かれば、試験に出る話なんて、大抵筋書きは決まってるから。あとは尊敬語と謙譲語とか、現代語と読みは同じでも意味が違う単語を覚えてたらどうにかなるのよ。

 と、登場人物を挙げさせたら、8割くらい抑えられるようになった。


 そこらへんからアレルギーをとっぱらってく。




 ああ、実際この仕事は向いてるみたいなんだけどね。いやっちゅうほど向いてるみたいですわ。本当は、時給が10分の1の肉体労働のバイトの方が好きだ。気が楽で。



 いっつも「学校ではそんな風に教えてもらったことない」と言われる。


 あたしも無い。ていうか授業聞いてませんでした。



 科目の好きなヒトは「詳しく知れば好きになるはず」と信じて疑わないが、詳しく知りたいと思うほど惹かれなければ、「細かいことをうるさいなあ」と思って終わる。


 導入が違うと思う。

 
 好きか嫌いか、ではなく、一通り覚えていくことがまず必要なら、効率的に一通り解けるように心を砕けば、あとはそれぞれが勝手に好きになったり一時的なツールとして扱うかを決めるだろう。科目への愛情は先生からの一方的なオノロケに過ぎないときもある。

 
 


 雨の止んだあと、実家のわんこを車に乗せて、近くの川原に連れていく。


 もう年よりなので、あと何年生きられるかわからない。が、あたしと会うと必ずはしゃぐので、その実感はない。



 よそのおじさんが

 
 「おうおう」


 と、声をかけてくれるが


 しらんぷり。



 あたしの顔ばっかり見てるから。


 木の幹にごつーん。



 昔からそそっかしい。


 子犬の時から、アンタはそうやね。


 親も年よりなので、親がリードを持ってるときは、そろりそろりと歩くのに。


 あたしがリードを持った途端に跳ねまわる。


 それで側溝に落ちたり、自動ドアを覗いて扉に挟まれたり、したよね。



 増水した川に飛び込みたくて、跳びこみたくて。


 ちらーちらー、とあたしの顔をうかがう。


 あかん。


 「あかんかー。やっぱり?」と、目の上をぴくぴくさせる。


 言うことを聞かないと、あたしがごっつ怒って耳やらほっぺやらを噛むとわかってるので、


 「じゃあ、まあ、いいかー。あそこの草むらも気になるし〜」


 ぴょんぴょん跳ねまわる。



 来年も跳ねまわってくれるとええなあ。



 犬が傍にいると嬉しいけど、時の流れがせつない。送るときのあの気持ち。



 夕暮れの風が気持ちいいねー、とベンチに腰掛けると、足元にながーくなってる。


 下駄履きの足の上に砂のついた顎をザリザリ載せてくる。


 じゃあね、またね。



 と、実家の玄関で。




 きっといつか、自分でも飼う日がやってくるのだろうけど。



 それはこの切なさと折り合いをつけられたときなんやろか。