ふじょしはDNAの

 古典の入試問題を教えてた。


 一つは源氏物語で、れいぜいくんが、自分が前の天皇の本当の息子ではなくて、腹違いの兄と思ってた光源氏とおかんとの不倫つうか不義の子供であると気がついた下り。


 れいぜいくんは割とふつうの人物で、反応がわかりやすいので、彼に対する設問は気分だけで答えやすい。


 でも、光源氏くんはなあ。なに、こいつ。と、あたしは、なんでこういう物語にハマルんかわからんなあ、と思う。ヒキメカギバナの色白ぽっちゃり、京都弁でくねくねしゃべる小太りのおっさんやんけ。シモのしまりがないったら。めんどくさくてうっとおしい話や。






 もう一つは宇津保物語。太政大臣のまだローティーンのおぼっちゃまが通りすがりに綺麗な女の子を見つけて(彼女は今は亡き琴の名演奏家の娘)、さっそくその日のうちに家に押しかけて、口説く。彼女もびっくりしたけども相手が子供やし、と油断して、で、その日のうちに速攻でエッチして、おぼっちゃま外泊ですか。

 エッチしてしまったら、もう片時も離れたくない、彼女のことがもっと知りたい、てわけで、彼女の素性をアレコレ聞くけど、彼女は教えてくれない。


 て、あのー。エッチしてから「彼氏はいるの?」て聞くかなあ。


 「先生、オレ、こいつらのやっとること、なんか変やと思うんやけど」


 あたしもそう思いました。


 なんかはじけ過ぎやんなあ。


 昔、竹宮恵子の「風と木の詩」が流行ったときも、もう一つはまれんかってんけど、ああいうちょっと通常とは離れた感じの「イケナイ」恋愛モノにのめり込む女子ってのは、いにしえから必ずいるってことかなあ。て思った。



 印刷もできひんくて手書きで写すしかなかったんやろけど、こういうのんに情熱を傾けてた末裔が、今も形を変えて存在するのは確かやな。


 
 あたしの中にはそういうDNAを感じないので、多分祖先は平安まで遡ると貴族ではなかったはず!と断言してみよう。




 さて。



 ちょっとしばらく、家に帰ってもシャワー浴びたら2、3時間仮眠をとる程度の生活が続き、途中で無意識にゴハンを炊いてしまい、しかも「あ、このままではひからびてしまうから」と、冷めたら冷凍庫に移すつもりでスイッチを切ったのは確か8月の末日だったように思う。



 恐くて、炊飯器を開けられません。