花冷え注意
あるおっちゃんの顔を見て。
あれ?なんか。
なんかちゃう?
と、いぶかしく思ってたん。
なんでかなあ。
と、幾日も経って気が付いた。
鼻毛がない。
最初会った時、あまりに大量の鼻毛に驚いた。
バカボンのパパなんて目ぇやない。
そらもう、アンタ、筆が2本できそうな勢いなんどっせ!奥さん!
ヒゲは剃ってるのに、なぜ上唇に届く程の鼻毛は放置されてるのか?
と、内心不思議で不思議でしゃーなかってんけど。
慣れた。
なんかもう、おっちゃんの顔の一部ってゆうか。風景の一部ってゆうか。
それが。きれいサッパリ。
草ボーボーの空き地が駐車場にでもなるのか、いきなり舗装されてた、みたいな。
なんだか鼻の下が寒そうでならない。
などと、あたしが余計なことをムクムク考えていることを、おっちゃんはつゆ知らず、
「おはようさーん」
と声をかけてくれます。
なのに、そのたび、
「ん」のあとにそよいでた鼻毛が懐かしくさみしいあたしなのでした。