めくそはなくそ

そのツレは関西人ではなく、知り合ったのも関西でないので、




関西以外の言葉になる。



つか、



あたしの言葉は、その土地か、その人に依存すんので。




そいつに言葉を依存したので、自分の地元なのに、すっかり異邦人扱い。



どの言葉も自分の言葉であって、自分の言葉やない気ぃする。



これは淋しいときもあるけど、電車でほんの10分離れただけで旅人になれるっちゅう利点もある。



遠く離れた異国で地元民扱いを受けるのはええのか悪いのかは別として。世界各地にアジア人がはびはびしてるから、あたしがひとりくらい混ざってもわからんみたいやね。



なんの話してたっけ?



あ?



あ。



そんでそいつがイヤホン買うのに付き合えちゅうので、でけー量販店に入ったわけです。




そしたら工人舎のPCがまた置いてあってですね、また他社との比較について延々語られたわけです。



たかだかイヤホン買うのに一時間。



屁の弱みがあるので耐えた。





という話をしたかったわけでもないな。







ま、いっか。



そのあとツレとも別れて色々用事などを済まして、終電付近の電車に乗ったん。




女子二人組が正面に座ったわけだけど、


化粧も少しはずれてる。



コーデもはずれててダサい。



やおら靴脱いで靴擦れを見せ合いこしてるのも見苦しいなー、て、じゃあ見るなあたし。



と、二人が



「なにあれ。いたーい」と目配せして、無遠慮な視線を投げた先に、





叶姉をフリーズドライしたよーなヒトがいた。



金髪をマリー・アントワネットのような巻き毛&ポンパドール。リカちゃんのドレスのよーな素材で作られた化繊のピンクのぴらぴらワンピにぴらびらカーディガン。可能な限りのブレスレットと指輪を着け、お花模様のバッグ数個にも限界に挑戦するかのよーに、お花がひっつけられていた。



降りるとき見たけど、分厚いファンデーションの肌は特に皺もなく陶器のようで、恐らく素肌も綺麗なんやと思う。



イタいにはイタいが、このヒトはこのように見せたいんやと思た。ちゅうか彼女の中でOKなら、彼女はそれで良さそうやし。



セクシー&おしゃれに見せたくて失敗してる二人組とどっちがイタいかというと、あたしは二人組かなあと。




と、思うあたしを、多分あれだけヒトがおれば、



「あのおばちゃんイタい」




と思ってるのであろ。認めないけど。




そうして、周囲と自分の感覚の差に誰しも気が付きたがらないので、




世の中から「イタい外見」の人はちっともなくならないのね、うんきっと。