やんぴ

 世の中の人々は、なぜにゆえに、どうして、WHY、しつこい、やせたがるのであろうか。





 「やせた?」は、「髪の毛切った?」とか、「その服可愛いね、似合ってるよ」と同じように、ちょっと誉め言葉なのであるよね?(自信がない)


 体型に合わせて似合う格好なんていくらでもあるし、健康を害さない範囲であれば、あと、生々しくなければ(肉の流れが服の上からでも詳しくわかるとか)、個性の1つなんとちゃうんか、とか思うわけです。とりあえず、スーパーの安売りの服が入ったら標準なんとちゃうんですか。




 あたしは、むしろ、この3年近く、ひそかに、太ろうとしていたのである。



 いや、もともとが、今の現代の基準では、特に細かったわけではないんやけど。





 なんつーか、どっしりとした体型であるとやね、安定感ちうか、安心感ちうか、貫禄が出るかなあ、みたいな?
 
 なんかね、外見に重みが欲しいかなあとか。


 先生としてはやね、こう、ガツンて感じだとええなあ、とか。



 あと、「えー、ほそおおおい、いいなあ」という、わけわからん挨拶に、


 ええ、そおおおお?ありがとおおお、でもおおおお、本当はそんなにいいいい、ほそくないのよおおおお、




 ていう挨拶を返すのも、ごっつ、めんどくさかったのもある。


 胸がないから、余計貧相やし。豊かな感じになりたひ。豊かなのは太ももだけである。


 高校のときなんか、ウエスト49センチなのに、太もも周り62センチだったもんね。

 
 「土偶」て呼ばれたよ(ぎざぎざハートの、はっ、こもりうたー)


 わかってくれたあ、いわへんが。







 あるとき、健康診断でレントゲンとったとき、医者が


 「あ、ちょっと待って!しこりが!二つも!」


 とゆーので、



 えええええええええええええええええええええええええええええええ?にゅうがん?


 人生走馬灯状態。




 安物なビニール貼りのベンチに座ってゆらゆらどんより蒼白してたら、また呼ばれて。



 「ああ、ごめんごめん、乳首だったよ」


 げらげら笑う医者。固まるあたし。

 
 「いっやー、普通はさああ、胸のふくらみでさああ、こんなにはっきりは写らないんだけどねえええ!ここまで胸無いと、写るんだね〜!いやいや、こんなにくっきり写ってんの、オレ、初めて見たよー!すごいなあ」


 なに、アゴに手ぇあてて、満足げに頷いてんの?アンタ?



 くそう、いつの日か、いつの日か、豊胸してやる。オノレの谷間を見下ろすまでは死なん。



 今、注射で豊胸できるらしいねん。3年くらいで元に戻るらしい。3年も谷間を見下ろせたら、十分な気がするな。



 ああ、今日も例によって話が暴走しとるね。






 



 まあ、そんなこんなで、3年かけて、8キロくらい増やしたわけですよ。



 でも、ジーンズが入らなくなったくらいで、貫禄は出ないわけで。



 ほんで、あたし、チキンなんで(よりチキンな場合は、あたしは「ナゲット」と呼んでいる。ホネがないから)、


 女子系の方々と話を合わそうとか、してみると、



 ダブルバインド状態になるので、



 うえー。



 ぐえー。と、なりました。



 で、1週間くらい、努力を止めて、


 朝米一合、昼米一合、夜酒一合を主食の、本来の食事に戻したら(これをヒトは大食らいと呼ぶ。なんでやねん。みんなちゃんと食え)、



 あっというまに2キロ減ってやんの。



 胃の調子も良くなったし。








 太るのやんぴ。貫禄なんて、もうどうでもいいさあああああ。どうせ。









 「あんな、せんせ、コレ、公式も合うてるやんな?なのに、どおしても答えがちゃう。解答間違ってるんとちゃう?」



 ん〜?どれどれ?



 …。



 あのね、12+6は、28じゃないと思うよ。


 「ああっ!」



 あーほーあーほーあーほー!


 両手をひらひらさせて、


 ひょとひたら〜ひろひろほろへ〜。


 「…、せんせ、なに?その唄と踊りは」



 これはね、あんたをバカにしてる唄と踊りで〜す。


  
 「…、あほや、せんせ、アンタはアホや!」


 
 あほのおまえに言われたないわ!ばーかばーか!









 えーと、外見に貫禄をつけても、無駄、っていうことにも気がつきました。



 あたし、賢くなったね!