ねむい

 いろいろあってねむいのこと。

 
 ほっとするとねむくなるね。



 かなり怒る出来事があって、最終的には引き取ったろか、と、最後の切り札として、養子縁組の準備までしてしまた。弁護士から何から全部一晩で揃えたもんね。怒ると何するかわからんな、あたし。



 が、いまのところ、その札を出さなくて済みそう。



 まあ、こういうとき、独りでよかったとも思うにゃ。


 オットがいたら、一人で決断できひんもんね。


 多分、もう自分で子供を産むことはなかろうと思うので、一人や二人くらい子供がおったってかまへんしな。


 まあ、こういうとき、それなりの年齢でよかったと思うもんにゃ。


 昔、二十代のとき、同じ事を思ったけど、実行にうつすだけの力はなくて、その子を死なせてしまった。



 でも、今ならできる。



 

 だけど、できなくても良い方が、できなくても済むほうが、いいに決まってるねんけど。




 そういう手段を講じなくても済むほうがええに決まってる。



 

 それでも、念の為、



 もし、また死にたくなったら、すぐ電話しておいで、

 
 贅沢はさせてやれないけど、あたしが母さんになったるから。


 最後まで守ったるし。思うとおりにしぃ。


 まあ、お父さんお母さんも、一時的に頭煮えてるだけやから、ほっといたらええとは思うけどな、どうしても我慢できひんくなったら、そういう覚悟はできとるから、安心せえ。


 いざとなったら、こんな若くて綺麗なお母さんがもう一人増える、思たら、ちょっとは気ぃ楽やろ。



 と、言ったら、


 涙目で


 「ええー。どっちか言うたら、おとんやで、アンタ」


 と、笑いやがりました。





 はっきり言うて、あたしには「母性本能」て、ないと思う。


 出会う親に対して、しょうもない愛情が過多やと思ってる。


 変なところで、子供に対して「取引」を要求しすぎや、と感じている。



 でも、子供にそれをストレートに言うことはない。



 子供可愛さに冷静になれなくて、バグっとんねん、という。

 
 頭冷えたら、おかしなことも言わんようになるから、安心せぇ、という。



 事実、そうであったらいいとも願ってる。



 
 子供が


 「親の言うとることが、おかしい、恐い」


 という内容は、あたしにはもっともやと思うことばかりで、


 ちゃんと、この子は育っているし、感じ取ることができる、と思う。


 

 それでも親は親なので。



 自分の思いこみを、ろくに調べもしないで、子供におしつけやがって、アホもたいがいにせえ、とか思うが、


 それは、どの人間も、そんなに完璧ではないし、自分や自分の子供に対して客観的でいられないのは、今に始まったことじゃないので、



 あたしは他人だから、いざとなったら、切り離せると、だから責任もとらないで済むから言えるのだと、言うが、


 逆にいうと、親である、ということで、あたしは生徒を人質にとられているような、そんな気分になる。



 
 
 

 そらな、あたしは親になったことないから、「親」の気持ちはわからんよ、実際。


 

 しかし、せっかく親になったんやったら、自分で自分の子供を殺すようなことはすんなよ。