きっみがああのっぞむならーひっできー

 求婚攻防戦が続いている昨今皆様お元気ですか。



 とかいうと、「モテ」などの烙印を押されそうですが。



 じゅううううううっって、それは焼印。





 それはあたしがまだ中学生のころのことらしい。覚えてない。



 幼馴染のおねえちゃんとこの幼稚園児に求婚された(らしい)。


 で、あたしは、

 「××君が大きくなって、一人前になったらね」


 と、答えたらしい、が覚えてない。



 で、××君から、連絡があって、


 「だいぶ一人前になってきたと思うので、あの時の約束を果たして欲しい」(by 電話。本人真面目)



 て、もう10年くらい以上会ってないんですけど。






 彼は高校のとき「至高の変人」というあだ名があったそうで、確か、進路に悩んでいたときに

 あんたは絶対サラリーマンではやっていかれへんから学者になりな。


 と、いわゆる最高学府への入学を勧めて、その勧めに従ったあたりくらいから会ってないのですが。




 さらに言うと、ある学校に「●○校三大奇人」と呼ばれる三人がいて、三人ともいわゆる最高学府で、そのうち二人は幼馴染で、三人ともから、結婚を申し込まれたことがある。



 求婚の理由:

 1.ののしってくれるのはりんちゃんだけだから。

 2.つっこみをいれてくれるのはりんちゃんだけだから。

 3.普通の女のヒトには、オレ、緊張して話もできひんから。

 4.何よりも、あのお父さんから比べたら、オレ普通やし、耐えてもらえそうやから。

 5.りんちゃんも変やし、お互い様やから。



 あのね、あたしは変かもしれないけど、他人の変には寛容じゃないから。


 親父が変なのだけでも参ってんねやから、コレ以上変を抱え込む気は毛頭ない。



 ある日のこと。


 退官してから数年とゆーもの、健康診断を受けない親父。



 母が昔半身不随のヤバイとこまでいって、リハビリまでの道のりを考えると、これから、再び介護の季節が巡ってくることは確実なんやけど、出来るだけ健康には気遣ってもらいたい、つうか気遣え。というので健康診断を受けさせたいんやが。


 「イヤや」


 タバコはやめたが還暦を過ぎるまで一日4〜5箱吸ってたし、コーヒーに3杯以上砂糖は入れる、オヤツが欠かせない、など、成人病の王道を進んでいる。


 せめて、検尿くらいは!と、キットを渡したがせえへん。ちょいちょい、と尿をかけたらしまいやんけ。なのに。


 あんたねー!糖尿を甘く見ると、泣くよ!目ぇ見えへんくなったり歩けんくなったりすることもあるんやからね!


 と、怒鳴ったら、


 彼は脳内で、検尿をする→失明などが発覚する→もうオレの未来はお先真っ暗


 という図式を組み立ててしまったらしく、



 「おまえは!おまえは!そんなにワシを不治の病にしたいのかああああああっ!うえええええええええええんっ!」


 と、号泣しながら、しかし、MYオヤツボックス(イチゴ大福、ビスコ、マロングラッセ南天喉飴などが最低アイテム)はしっかり脇に抱えて、書斎に駆け込んで引き篭もってしまった。


 …。



 同居してると、つい世話を焼いてしまうので別居してんねんけど、目を離すとお袋が甘やかすからどうしようもねえ。


 「まあまあ、りんちゃん、そういわないで」とお袋。


 「あのヒトだって、少しずつ成長してるんだから、この前もね」


 
 …この前も?



 「この前ね、お父さん、一人でツナ缶を買いに行けたのよ」
















 …、ち、ちっちゃい成長やね…。






 「ガスだって、消せるようになったんよ」




 …、ふ、ふうん。




 昔、同居していた頃、あたしの部屋は3階にあり、台所は1階にあったわけだが。



 だだだだだだ、と親父が部屋まで上がってきて、


「ヤカンが火ィつけっぱなしになっとった!」


 と、いうので、


 あ、ごめんね、ありがと。


 と、答えた。



 しばらくして、再び、親父は1階の居間から駆け上がってきて、息を切らしながら、


 「おいっ!ヤカンが真っ赤になっとるぞ!」



 3階まで駆け上がるよか、火ぃ消したほうが早いやんけ。とゆう理屈はコイツには通じないのだ。




 が、一人で消せたとき、


 「オレが消したんや。俺が気ぃ付いて消したから事無きを得たんや」と、百回くらい言うので、忍耐が肝要である。



 お袋入院中、わがままが過ぎるんで、「洗濯機まわすんくらい手伝え」というたら、


 「動かん。見張ってたのに、アレは故障か?」


 えーと、フタ開けてたら、脱水できひんから止まります。親父は理系の学者です。







 そんな親父を見て、弟は「あんな親父、アホや。どうしょうもない」というていたが、


 この鍋、見といてな、と別の部屋に行ったら、


 「りんー、鍋焦げてるでー、ケムリ出てるワ」



 て、それはほんまに「見てた」だけやん。


 おまえもどうしょうもない。




 ついでに言うと、弟はこっそりがり勉・筋トレマニアで、便所にも表などを貼り付けて寝る間も惜しんで勉学に励み且つ筋トレも欠かさない高校生だった。


 夜中、目覚めると、風呂場で気配がする。



 三面鏡は、あたしが逆に閉めて割っちゃったので、大きな鏡はそこにしかないのであるが、



 夜中三時。



 ブーメランいっちょで、体中ベビーオイルを塗って、一人微笑みながら筋肉ポーズを次々ときめる弟(仮名)の姿が。以来、筋トレマニア=アホという図式が心に染み付きました。卒業アルバムの撮影は真冬だったはずなのに、アンタだけ上半身裸で写ってたよね?




 そしてまたある夜。



 便所に起きたら、便所からあたしを呼ぶうめき声が。



 弟(仮名、当時17歳)が、大便の最中に眠ってしまい、足腰が痺れて立てなくなっていた。


 パンツを上げてやろうとすると、


 「り、りん、オレまだケツ拭いてへん」



 あたしは、弟(仮名、当時17歳)の肛門を拭いてやり、パンツを上げてやり、ベッドまで運んでやったのだった。そして、弟のファンの女のコからのラブレターの返事の添削をしてやって寝た。

 
 あのとき、何もかもがモウソウだと、なんとなく思ったかも知れへん。





 「うちの男は変わってるからね」とお母さん、他人事ではありません。



 あなたね、世間知らずの御嬢様(結婚後、ごっつい働いてたけど!)ちゅうのはわかるけども!


 中学生のあたしに、


 「ねえねえ、りんちゃん、今日ね、聞いたんだけど、女のヒトは30歳を過ぎると性欲が高まるって、ホント?」



 て、聞いてきましたね。


 「わからん」


 て、答えたら、


 「どうして?」


 と、悲しそうな顔をしましたね。




 あたしも悲しかったよ。




 というわけで、自分自身も含めて、あたしの変の許容量は、もうとっくに限界値を越えているので、あと1ミリたりとも変を受け入れることはできひんの!