こんな夜にはぷちぷち

寝れへん。



ぷち、ぷち、と違和感を覚えて、あるときバッサリ遮断してしまう時がある。



遮断の時のきっかけは実際どうというほどのことやなかったりする。



自分に対してイヤなことをされたわけでもないので、距離をおいて上手に付き合うことも覚えた方がええんとちゃうかと、そのぷちぷちを抑え込もうとする。が、バッサリ切った後正直ホッとして、もう物分かりのいいフリせんでええんやと安堵する。





あるお店によく出入りしてた事があった。



お客さんの多くは客というより、店主の友達感覚だった。あたしもそういう錯覚をしてたかも知れへん。



あるとき、ちょっと常軌を逸した感じの女の子が常連になった。


店主は「淋しい子だからお友達になってあげて。優しくしてあげて」と、周りに頼み、客の中にはアドレスを交換した人もいた。購入したセットの一部が不要だったから、値段はそのままでいいから、その分はそちらで処分して、というと、その女の子にあげられていた。あたしからプレゼントという名目で。戸惑った。



あるとき、その女の子に店主が出入り禁止を言い渡した。




そのとき、店主は



「だってお客じゃなかったら、誰だってあんな子と友達にはならないよね」



頷く客兼「友達」たち。



なんだか理解の範疇を超えたぷち。









ある飲み会で、ある人が昔のエピソードを話した。




豚肉を食べちゃいけない宗教で育った留学生が学園祭か何かで、それとは知らずに豚肉の入った食べ物を口にして



「コレ、スゴクオイシイネ!ハジメテタベタ、オイシイネ!」


と、むさぼるように食べていたことを、さも面白いことのように。カタコトを演技たっぷりに。




喉の奥になんだか固くて尖ったものが詰まった気ぃした。



今食べたのは人肉だったんだよ、とか、お前の可愛がってるペットだよ、と陰で言われたような感覚やってんけど。





そういうぷちぷち。


が泡立って、息ができなくなるとき、耳を塞いだところで、ぷちぷちが無くなるわけやないんやけど、どうにもこうにも、嫌われても恨まれても蔑まれてもなんでもええから、ぷちぷちから逃げ出したくなるのをこらえて騙し騙しで踏ん張ってみたりする。


けど成功した試しはない。


そんな事を思い出して揺れるのは、自分で折り合いつけてへんからで周りのせいとはちゃうねんけどね。