ハクチウム

パーキングエリアを出る。


走り出す。



ハンドルは焼けていて、



エアコンからは



どろり、とした、半気体が流れ出るので。





すこうしだけ、ウィンドウを開ける。



すると



後方から、下駄の音。



そいつは、


わずかな隙間から、細い指を差し入れて、



ぐっと押さえ込み。




そうして、ウィンドウを無理やり全開に。






「もうすぐ、また、来るな」





窓枠にアゴをつけて、




翁の面をかぶった子供が言う。






「また、来週」



























けらけら、




笑い声は、エンジンの音に溶けていく。





濃緑と黄土色がぼかされた、絞りの兵児帯がひらひら、一瞬なびいた






ような、気がした。