2007-08-05 ハクチウム パーキングエリアを出る。 走り出す。 ハンドルは焼けていて、 エアコンからは どろり、とした、半気体が流れ出るので。 すこうしだけ、ウィンドウを開ける。 すると 後方から、下駄の音。 そいつは、 わずかな隙間から、細い指を差し入れて、 ぐっと押さえ込み。 そうして、ウィンドウを無理やり全開に。 「もうすぐ、また、来るな」 窓枠にアゴをつけて、 翁の面をかぶった子供が言う。 「また、来週」 けらけら、 笑い声は、エンジンの音に溶けていく。 濃緑と黄土色がぼかされた、絞りの兵児帯がひらひら、一瞬なびいた ような、気がした。